近年、国内で販売する車両からMT車がその姿を消そうとしているのをご存知だろうか?
スポーツカーと言えばマニュアルトランスミッション【MT車】。オートマティックトランスミッション【AT車】と違いキビキビとした走りが出来るのが特徴だ。クルマを操ってる満足感を味わいたいなら、間違いなくMT車がオススメだ。
現在生産されている車のうち、マニュアル設定がある車両は、走る楽しさを売りにしたスポーツタイプか働く車(バンタイプ)くらいしかない。いまやMT車は絶滅危惧種なのだ。
スイフトスポーツZC33Sは、マニュアル設定がある数少ないコンパクトスポーツの代表格だ。
今回は【スイフトスポーツZC33Sを買うなら】MT車とAT車のどちらがオススメかをご紹介しよう。
近年のマニュアル事情
現在、登録車に占めるMT車の比率がほとんどゼロに近いのをご存知だろうか?
オートマティックトランスミッションが生まれる前は、MT車が主流だったのはご存知だろうが、すでに30年前にはMT車の割合は30%まで落ち、それが2000年には10%まで減り、2010年にはついにMT比率は1%まで減っているのだ。
ここまでくると、もはやMT車はワシントン条約の指定動物くらい希少。国の施策で保護しなければ消えてなくなってしまいそうだ。
このまま絶滅すると思われたMT車。10年前に1%になった後、実は2019年になんと1.4%に上昇したのだ。にわかにMT車比率は息を吹き返しているのだ。
これは【ホンダ S660】【スズキ アルトワークス】【ダイハツ コペン】【スズキ ジムニー】【スズキ エブリィバン】【トヨタ 86】【ホンダ シビックtypeR】【スバル WRX STI】など、近年マニュアル車で楽しめるクルマの販売が好調だったことが大きな原因だ。つまりMT車の魅力が見直され、愉しむ人が増えてきているということだ。
今も新車販売されてるMT車
そんな不遇の時代に生まれたMT車の中で、コンパクトスポーツと呼ばれるカテゴリーだと更に少なくなる。
コンパクトスポーツのカテゴリーだと、まずは愛しの【スズキ スイフトスポーツ】が代表格。その他は【トヨタ GRヤリス】【日産 マーチNISMO S 】【マツダ ロードスター】【マツダ マツダ2】くらいが、現在でもメーカーが頑張って作っているMTコンパクトスポーツカーだ。
この他にも【ホンダ S660】【スズキ アルトワークス】【ダイハツ コペン】【スズキ ジムニー】【スズキ エブリィバン】【トヨタ 86】【ホンダ シビックtypeR】【スバル WRX STI】【日産 フェアレディZ】などなど、名車と名高いクルマにはマニュアル設定が現在も存在する。
AT車にはないMT車のメリット
MT車が主流だった時代と比べ、現在オートマティックトランスミッションの技術は飛躍的に向上した。いまやAT車を選択するデメリットは価格面くらいではないだろうか。
しかし、走ることを愉しむならやはりMT車がオススメだ。回転数を合わせて自在にシフトアップ・ダウンしたり、最大トルクをキープしながらワインディングを走り抜ける。どんなに技術が発展してもAT車には出来ない芸当だ。(F1もセミオートマの時代ではあるが・・・)
他にも、回転数をコントロール出来るMT車は、燃費がAT車より良かったり、複雑な機構を持つATよりシンプルな構造のMT車は、壊れにくかったり車両重量の軽量化に繋がったりと、MT車ならではメリットが沢山ある。
あと意外かもしれないが、腰痛の軽減にもMT車は適している。AT車と違い両足で操作が必要なMT車は、乗車姿勢を正して乗らないとまず運転が出来ない。AT車だと、ひじ掛けに肘を置いて斜め姿勢で座ってしまうこともあるが、MT車だと背筋を正してまっすぐ座らなければまともに走らせることは出来ない。この乗車姿勢を正すことが腰痛を防ぐのだ。
さらにスイフトスポーツは、ホールド性の高いスポーツシートと相まって、乗るだけで骨盤矯正をしてくれる効果も期待出来る。
やっぱりAT車?MT車のデメリット
MT車を選ぶデメリットとして、真っ先に挙げられるのは渋滞時の走行や長時間運転のときだろう。
AT車と違い、MT車はシフトチェンジする度に左足の操作がある。空いている道や短時間の運転ならMT車の走る楽しさが上回るのだが、半クラッチをキープしながらの渋滞路や、2時間を超えるロングドライブでは疲労感が半端ない。快適さや疲れにくさを考えるならAT車に軍配が上がるのも無理はない。
他にも、クルマ離れの若年層の増加や、クルマに楽さや快適さを求める高齢者の増加、道路交通法の厳罰化に伴う走り屋の減少をなどにより、AT車に人気が集まるのは時代の流れなのだろう。
もっともクルマを「移動するための手段」と捉えるか「楽しむための道具」と捉えるかによるが、スイフトスポーツを「楽しむための道具」として捉えるなら、これほど面白そうなクルマは近年他に無い。
スイフトスポーツZC33Sを買うならAT?MT?
スイフトスポーツZC33SにはAT車とMT車の両方の設定がある。クルマの用途が「移動するための手段」であるならAT車を選ぶべきだろうが、敢えてスイフトスポーツというクルマを選ぶのなら、ここはやはりMT車がオススメだ。
星の数ほどあるクルマの中から、スイフトスポーツを購入しようとする人にとって、敢えてスイフトスポーツを選んだ理由は、クルマを「楽しむための道具」として選んだからではないだろうか?
「移動するための手段」として選ぶなら、スイフトスポーツでなくスイフトで良いだろうし、もっと言ってしまえばスイフトである必要もない。
MT車を選択する理由は価格面でもメリットがある。
AT車1,941,500円に対してMT車は1,870,000円。その価格差は71,500円だ。71,500円も安くなるなら、その分でオプションパーツをつけた方がお得だ。
さらにAT車990㎏に対してMT車970㎏の車両重量の軽さも見逃せない。パワーが同じなら、車両重量が軽い方がパワーウェイトレシオに優れている。パワーウェイトが優れていると加速感を感じやすく、全般的にスポーツ性能が上がる。これはライトウェイトスポーツカーの必須条件だ。
つまり「スイフトスポーツをAT車にするか?MT車にするか?」で悩んでいる人にお伝えしたいのは【価格メリット】と【パワーウェイトレシオ】の2点だ。AT車より安くて、スポーツ性能に優れているならMT車を選ばない理由はない。
ここは迷わずMT車一択でどうだろう?
まとめ
「今までオートマばかり乗ってきたから運転が心配」
「若い頃はマニュアルに乗っていたけど今はもう体力的に無理」
そう思っている方でも、スイフトスポーツに乗るならMT車がオススメだ。せっかくMT車を選んでも後悔するかも知れないという気持ちは分かるが、慣れたしまえばオートマもマニュアルも大した違いは無い。
それでもまだ、AT車にするかMT車にするか悩んでいるなら、何故スイフトスポーツを買うのかを自問自答してみると良い。「快適さや運転する楽さだけを求めるのではなく、シフト操作を愉しみ走る喜びを感じたいからではないのか?」と。